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2022.02.28
めいどのみやげ【その四】元プロサッカー選手・愛媛FCコーチ  羽田敬介さん

【その四】 羽田敬介さん

誰もが一度は考えたことがあるだろう、
明日世界が終わるとしたら何を食べたい?
そんな究極のメニューを“めいどのみやげ”と ここでは呼ぶこととし、
その人をつくってきた「食遍歴」を探ります。

高校卒業後、清水エスパルスやセレッソ大阪、
そして愛媛FCとプロサッカー選手として活躍をした羽田敬介さん。
「食べることもトレーニングの一つ」と言うように、
スポーツ選手にとって大切な体づくりと食事は切っても切れない関係。
高校時代はひたすら練習して、ひたすら食べてという日々を過ごしたそう。
父が卵屋さんで働いていたということもあり、
母がちゃちゃっと焼いてくれる甘めの卵焼きはほぼ毎食食卓にのぼる定番料理でもあったそう。
そんな中でひたすらリクエストし続けたのが、今回のめいどのみやげとして挙げた、
お母さんの作る「サラダ巻きと唐揚げ」だ。
いわゆる昔ながらの巻き寿司が好きではなかった羽田少年が
「こんな美味い巻き寿司なら毎日でもいい!」と興奮した、
シーチキンマヨネーズと卵焼き、キュウリ、レタスを海苔で巻いたサラダ巻き。
そしてもう一つはニンニクや醤油でしっかりと下味をつけ、パン粉をつけて揚げた唐揚げ。
もちろんお弁当のおかずとしても定番で、色のバランスなんてなんのその。
「ご飯がドン、唐揚げがドン。以上! それだけでいい」
という豪快なお弁当を連日学校に持って行っていた。
そしてそれは松山から下宿している、市販のお弁当ばかり食べていた寮生たちの憧れの的に。
時々交換してあげていたことから、同級生たちのソウルフード的な存在になっていった。

「母は学校給食の調理士をしていたこともあり、料理はお手のもの。
家では『もう料理したくないんよ』といつも言っていましたが、
お弁当を買うと伝えた時に寂しそうな顔をしていたのが忘れられません。
そんな母の作るあの唐揚げには他では出会えない。
味付け、肉の下処理の包丁の入れ方しかり、
母にしか出せない味はそんな丁寧な仕事からきていたのだろうなと、
最近になって思うようになりました。」
当時は何気なく食べていたものに母親の愛情がぎっしり詰まっていたことが、
大人になった今だから実感できる。
ろくに感想も言わずにいたという反省も踏まえてか、
最近は家族が作ってくれたご飯にも「美味い!」とちゃんと伝えることを意識しているそう。
今でも実家に帰ると必ず出てくる、当時と変わらない山盛りのサラダ巻きと唐揚げは、
いつでもあの頃にタイムスリップさせてくれる大切な味だ。

羽田敬介(はだ けいすけ)
愛媛県愛南町出身。南宇和高校サッカー部卒業後、清水エスパルス、セレッソ 大阪などJ1でゴールキーパーとして活躍したのち、2005年からは愛 媛FCヘ。清水エスパルスでのGKコーチを経て、2022年から愛媛FC のGKコーチに就任

イラスト:山森めぐみ
漫画家・イラストレーター。愛媛県西予市出身。
双子の姉の方。新刊『憑きそい』発売中

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