- 2022.09.30
- めいどのみやげ 【その十一】タレント・フリーパーソナリティやのひろみさん
誰もが一度は考えたことがあるだろう、明日世界が終わるとしたら何を食べたい?
そんな究極のメニューを“めいどのみやげ”とここでは呼ぶこととし、その人をつくってきた「食遍歴」を探ります。

「3姉妹で食べ物はいつも取り合い。グラム単位で等分に分けたあと、さらにジャンケンをして取り合っていました」と笑うやのひろみさん。ふたつ上の姉と、双子の姉妹という環境に加えて幼少期からバレー、テニス、ハンドボールなどスポーツに打ち込んできた事もあり、成長期の食バトルはかなり白熱していたそう。一人暮らしを始め、誰とも取り合いをしなくても良くなった後も、なぜか「残しておくと誰かに食べられてしまうかもしれない」という気持ちはどこかにあったそうで、今でも開けたら一度に食べ切ったり飲み切るクセがついているのだそうだ。大学卒業後にイベント&ラジオ制作会社に就職し、番組ディレクターと並行してラジオパーソナリティをすることになり、現在まで25年に渡って南海放送ラジオの月曜夜ワイドの顔として活躍中のやのひろみさん。またラジオ以外でもTVやイベントの制作・司会などで日々県内各所を飛び回っているのは周知の通り。愛媛の食に関しても知り尽くしているやのさんがめいどのみやげ に選んだのは「しめ鯖」と「キリンの瓶ビール」。「秋からが旬の、多すぎず少なすぎず脂がのった鯖を、これまたほんのりと柔らかく酢を効かせたしめ鯖。これに天日干しの旨みが濃い塩をちょいとつけて食べたい」とのこと。味付けは基本的にシンプルが好きで、しょう油やタレよりも塩を付けて食べるのが好きで、魚だけでなくフライなど揚げ物やハンバーグ、お好み焼きなども例外にあらず。素材自体の旨みや甘みをきちんと味わいたいと思うそうだ。また、キリンビールは言わずもがな。現在でこそ「キリンビールを応援する愛媛のおまつり課長」という肩書きをもたれているが、お酒を飲みはじめた時からキリンビール一辺倒。おいしいものを食べたいと思う時には、必ず傍にキリンビールがお供になっているそうだ。そんなやのひろみさんにとって食べる事とは、生きること。それは出産して母乳での子育てを経験した時に、自身が食べたモノがそのまま子どもの体をつくるという体験を通して、より一層実感するように。また、仕事に子育てにと分刻みでの多忙な毎日の中でも「その日あったことを共有し合うのは夕食の時間。目の前のおいしいご飯と会話にだけ集中する家族の時間は守るようにしている」というのも、食が人生にとって大切なファクター になっていることを表しているようだ。
やのひろみ
1975年生まれ、松山市出身。ラジオ番組「夏井いつきの一句一遊」のディレクターを務めるほか、俳句甲子園実行委員会に所属。2010年には第47回ギャラクシー賞ラジオ部門DJパーソナリティ賞(全国で1名)受賞するなど、ラジオパーソナリティやテレビ出演、イベント司会など活躍中。2002年より舞台音響会社「有限会社タグプロダクト」を起業。
イラスト:山森めぐみ
漫画家・イラストレーター。愛媛県西予市出身。
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