マガジン

2022.01.28
瀬戸内生まれのクラフトチョコレート

近年、ローカルでも話題になることが増えたクラフトチョコレート。

材料選びに、製造工程に、職人技にこだわった、個性豊なチョコレートの世界を垣間見てみませんか。

広島県尾道市の対岸にある向島。カカオの甘い香りに包まれた工房&ショップ&カフェは2014年にオープンした。窓の向こうには瀬戸内の穏やかな景色が広がる

”なめらか“だけがチョコレートじゃない!〜
USHIO CHOCOLATL

その製品がいつ、どこで、だれによってどのようにつくられたのか。
今でこそ一般的に広まりつつある考えですが「USHIO CHOCOLATL」の代表・中村真也さんは20代半ばから、いわゆるビーガン的な食習慣となり、食品を購入する際に成分表示を見たり、考えてから口にするようになったそう。
その頃、たまたま雑誌で見たニューヨークのチョコレートショップの商品に感化され、「こんなチョコレートを作ってみたい!」と、尾道で出会った友人らに持ち掛けて、根気強く口説きました。
それが“Bean to Bar”と呼ばれる、豆の仕入れから加工までを一手に負うスタイルでした。
「カカオ豆と砂糖のみを使って、産地ごとに異なる豆の個性を最大限に生かした、おもしろおかしいチョコレートを作りたかった」と中村さん。
しかし創業当時、カカオ豆はほとんど一般に流通しておらず、「直接買い付けに行くしかない!」と、パプアニューギニアやグァテマラへ旅立ちました。
現地で出会った日本人たちとの大冒険の末になんとか念願の豆を手に入れることができ、ようやくチョコレートづくりがスタートしました。

「豆の個性をより引き立たせるために浅煎りで焙煎し、砂糖は四国中央市で作られたオリジナルの有機黒糖から精製した”和二盆“と、ブラジル産のオーガニックシュガーをカカオ豆の個性に合わせて使っています。」
素材も作り方もいたってシンプル。手作業で行うため1日400個が製造の限界だといいます。
中村さんは自身のチョコレートづくりに”テロワール“という言葉を使います。
ワインの世界でよく聞かれる言葉ですが、「風土の・その土地らしい」という意味があるそう。
つまりは、その土地で様々な条件が揃ったから、その味・その形になったということ。
お茶・柑橘・ショウガ・スパイスなど、良い出会いがあれば様々なフレーバーにも果敢にチャレンジしたいと言います。
誰もやらないこと、ピュアにやりたいことを全うするスタイルが多くの人を惹きつけています。

「多様な人材が活躍できる、やりがいがあり文化の生まれる場所をつくっていきたい」と中村さん
カカオの輸入から加工、パッケージング、販売までチョコレートをめぐる全工程を自分たちの手で行う。なめらかな食感が特徴のスムースタイプとカカオ豆と砂糖のザクザク食感を残したクランチタイプがある
「他と同じことはしなくていい」と、チョコレートの形やパッケージデザインにも一つひとつこだわる

USHIO CHOCOLATL
広島県尾道市向島町立花2200
TEL:0848-36-6408
営:9:00-17:00 / 火・水曜休


鮮度にこだわる世界品質のチョコレート〜
GBC Chocolate factory

世界中のコーヒー豆の産地を巡り、パティシエの経験を生かしたコーヒーと焼き菓子のお店「GBC(グラブバッグコーヒーストップ)」を2014年にオープンした髙橋賢次さん。
コーヒーを巡る旅を続ける中で、コーヒー豆の産地には良質なカカオ豆があることに気づき、コーヒーに合うチョコレートを自分で作ってみたいと思うように。
当時、国内のチョコレート製造は大手一強だったため、「小さな工房でカカオ豆からチョコレートづくりをすることに可能性を感じた」と言います。
南米はペルーやブラジル。アフリカはマダガスカルやタンザニア。東南アジアではベトナムなど、生産者との繋がりをつくるところからスタート。
「カカオ豆は収穫後に発酵と乾燥をさせるのですが、どの程度発酵させたのか見た目には分からない。香りや風味を出すためちゃんとお願いしたのに、そのプロセスが省略されたり短縮されたり…。」
耐えぬ苦労のなか、文化や言葉の壁を感じながらも、想いを伝えられるように関係性を構築してきました。

生産者から直接仕入れたカカオ豆と、四国中央市で栽培されたサトウキビからできた黒糖を使用したチョコレートは、
2018年の「インターナショナルチョコレートアワード世界大会」にて、板チョコレート部門で銀賞、ミルクチョコレート部門で銅賞を受賞。
「一般的なチョコレートは、いつつくられたか分からない。でも、ウチのチョコレートはつくってすぐ店頭に出しています。」
つくりたてとしばらく経過してから、変化する風味を楽しめるのも、クラフトチョコレートの魅力の一つです。

四国中央市の特産、新宮茶とのコラボレーションや地元企業とのタイアップなど「 今 、ここにある良いものを再確認できるような取り組みを続けたい」と髙橋さん
チョコレートの原料となるのが、カカオ豆を焙煎し、外皮を取り除いたカカオニブ。手作業で細かく殻を取り除く
鮮度にこだわる“MILTOS”シリーズ。カカオ豆をすり潰して2日間かけてゆっくり練り上げ、4日目には完成する
チョコレートの他にコーヒー豆も店内で販売。ドリップコーヒーもテイクアウトができる

GBC Chocolate factory
愛媛県四国中央市金生町下分907-1
TEL:0896-77-5449
営:9:00-19:00 / 無休


健康的でおいしいチョコレートを身近に〜
ヴァンヴリット

2015年にヨーロッパから愛媛県に移住した、オランダ人のデヴィッド・ヴァンヴリットさんが始めた、オーガニックチョコレートの専門店。
日本に移住した頃、オーガニック食品がなかなか手に入らないこと、とくに自分や子どもたちが好きなチョコレートがあまりないことに気付き、オーガニックのクーベルチュール(国際規格を満たした製菓用チョコレート)をスイスから輸入し、自分で作ることにしました。
「日本で購入できるのは、スーパーで売っているチョコレートかショコラティエの高級チョコレートのどちらか。その中間にある、気軽に購入できるおいしいチョコレートを作りたかった」と、ディレクターのヴァンヴリット・裕理さん。
二人が出会ったフランスでは、オーガニックやフェアトレードといった商品が当たり前に存在し、誰もが環境のこと生産者のこと健康のことを身近に考える文化があった。
「おいしいことはもちろん、僕にとっては公正な価格を生産者に払っていること、子どもたちに労働を強制していないということはそれ以上に大切」だとデイヴィッドさん。
オーガニックのドライフルーツやナッツなどと組み合わせることで、風味や食感が楽しく、見た目にも美しいチョコバーが生まれ、2020年には日本でつくられるチョコレートでは珍しい有機JAS認証に認定されました。
「身近なスーパーで自分のために買えるチョコレートになりたい」と、パッケージにはあまりコストをかけず手頃な価格で高品質なものを提供できるよう、日々チャレンジを続けています。

スイスで初めて100%オーガニック&フェアトレードのチョコレートを販売した会社のクーベルチュール
製ハンマーで叩き割って食べる、バレンタインの限定のいちごタブレット。イチゴ、クランベリー、木苺など見た目にも美しい
オーガニック原材料を選ぶことは環境、動物、人間すべての健康に配慮すること。素材選びから加工まで一貫して行う

ヴァンヴリット
愛媛県四国中央市中曾根町1593-4
TEL:0896-88-9065
営:土曜10:00-17:00


    • 3-1-1 B1F Ichibancho, Matsuyama-City,
      Ehime, 790-8532
    • MAIL info@tcm.fun