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2022.09.30
米粉最前線 グルテンフリー特集

今、注目のグルテンフリー。
実践する人が増えていますが、そもそもなぜ体に良いとされているのでしょうか。
その秘密を紐解くとともに、 グルテンフリーを提案するショップ、 菓子工場をたずね、 それぞれの想いを聞きました。

日常のおやつとして身近な選択肢の一つになりたい

アレルギーや食事制限が必要な人にも、そうでない人にも同じ目線で食べてもらえる、卵・乳製品・小麦を使用しない、おいしいお菓子づくりを目指す香川県さぬき市の「禾(のぎ)」代表・中條淳子さん。起業のきっかけは、サラリーマン時代の乱れた食生活にありました。

「ザ・昭和な働き方、朝まで飲んで仕事に行ってまた飲んで。まともな食生活ではなかったんです」。低血糖で糖尿病の一歩手前、体調を崩してはじめてこれではいけないと気付きました。

幕内秀夫先生の『粗食のススメ』という本に出会ったことをきっかけにマクロビオティックを実践。添加物を極力使わず、玄米菜食を中心とした食事でみるみる体調が良くなり、食べ物の大切さを多くの人にも知ってもらいたいと、2009 年に友人とカフェをオープンしました。

「当時はマクロビオティックやアレルギー対応の飲食店はほとんどなく、アレルギーのある人たちの、私たちも外食したい!人のつくったごはんが食べたい!というニーズがたくさんあることを知りました」。好きでやっていることが誰かの役に立てる、子どもたちを笑顔にできる、「ありがとうと言ってくれてありがとう」そう心から思える仕事に出会えたと言います。

お米のお菓子を商品化するに至った大きなきっかけは東日本大震災。被災地に菓子パンが配られているニュースを見て、「アレルギーの方たちはどうしているのかな?」と。日本アトピー協会に協力を得て卵・乳製品不使用のクッキーなどを毎週のように被災地へ送りましたが、その際に小麦を使っていないお菓子はないのか、という問合せをもらいました。「社会で必要としている人がいる、当時あまりやっている人がいなかったということもあり、使命感に燃えて卵・乳製品・小麦の三大アレルゲ ンを使用しない、国産米粉を使用したお菓子を開発しました」。

2014年にはアレルゲンを持ち込まない体制をつくった専用工場ができ事業として本格化。 2019年に高松市からさぬき市の保育園跡地へ工場を移転し、生産力アップに向けて取り組ん でいます。

中條さんの思いは、日常のおやつとして米粉の商品がどこでも手に入るようにしたい、ということ。「米粉商品をアレルギーコーナーではなく、海外のスーパーのようにアレルギー対応もグルテンフリーもオーガニックも、普通のお菓子の棚に並べて、一つの選択肢として手にとってもらいたい」。そのためパッケージにもこだわり、他の子どもたちが持っていてうらやましいと思ってくれるような、かわいらしいデザインで展開しているのです。

「日本は多くの食料を海外から輸入していますが、今の円安などを見ていると今後それらが安定供給されるかどうかは分からない。しかし日本には米があります。もっと需要を増やして農家さんを応援していきたいです」。

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◎ 禾(のぎ)
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